小さい頃からものをつくることが好きだった。プラモデルの組み立て、理科の電気実験、設計図を描くドラマの主人公。心ひかれてきたものを考えると、中電工で建築物の設備工事の仕事に携わっているのは、必然だったのかもしれない。
ライフラインに欠かせない電気・給水設備は、建築物においても、その命をつかさどる大切なラインだ。暗くなればビルは点灯し、コンセントにプラグを挿せば電気がつながり、蛇口をひねれば水が出る。当たり前過ぎて、疑問にも思わない。しかし、どんな建築物も緻密で繊細な仕事によって、命を吹き込まれているのだ。
街のランドマークとなるような球技場や公園、商業施設やホテル、高速道路など、巨大な建築物になればなるほど、工事に携わる人数も多くなり、綿密な計画が必要になる。
さまざまな協力会社の作業員の人たちに、安全で的確な指示を出せるように。打ち合わせを重ね、図面とにらめっこする日々。
事前準備は一瞬たりとも気が抜けない。
新しい建築物ばかりじゃない。
ときにはデパートで、年末セール後から年始の初売りまでの短期間で受変電設備を入れ替えたり、ときには老人ホームで、人が生活している中、空調機を取り替えたり。
限られた期間や条件の中、私たちは老朽化した建築物にも命を吹き込む。
決して楽な仕事ではない。しかし建築物が完成し、工事にかかわった多くの仲間と喜びを分かち合う瞬間や、その建築物が地図に残り、人々の生活の営みの一部となっていくことに、この上ない幸せを感じる。
「達成感」「満足感」。
そんな言葉では表しきれない何かに、今日も私は夢中だ。